津田沼の家と建築家・阿部勤のいえ展

現在船橋市にある津田沼の家を販売中です。設計は建築家の阿部勤さん。阿部さんらしいRC造と木造の混構造で、重厚感がありつつも木の温かみが感じられる伸びやかな住宅です。


阿部勤さんは自邸の「中心のある家」をはじめ、生前にたくさんの個人住宅を設計されました。ちょうど東陽町の竹中工務店1FのGallery A4で「建築家・阿部勤のいえ展 暮らしを愉しむデザイン」が開催されていたので訪問してきました。4月4日から6月26日まで開催中で、展覧会のPR映像はYouTubeでもご覧いただけます。
阿部勤さんは1960年に早稲田大学の建築学科を卒業後、坂倉準三建築研究所に入所。その後1975年に室伏次郎さんと株式会社アルテック建築研究所を設立し、1984年には株式会社アルテックを設立しました。

展覧会の年表の一部。年表を見ると毎年数多くの住宅を設計されていたことが伺えます。津田沼の家はアルテック設立後の1991年に竣工、38番目の作品です。津田沼の家の売主さんによると、阿部さんは自邸を含めて自分の作品のベスト3に津田沼の家を挙げていたそうです。

今回の展示の見どころは何と言っても私の家(中心のある家)のモックアップと調度品。キッチンとダイニングなど空間の一部が再現されていました。幅が2.1mのこの空間は1間(1.8m)よりは広く、ただ一般的には部屋としてはちょっと狭い空間。この寸法が絶妙で、津田沼の家のダイニングも同じ幅2.1mの寸法が採用されています。津田沼の家のダイニングで売主さんにコーヒーをいただいて気付いたのですが、この寸法が一つ机を囲んで家族で食事をするにはちょうど良い距離感で、これよりも幅が広いと空間が間延びしてしまい、家族の関係が希薄になるような印象を受けました。

他にも製図机や阿部さんが収集した小物たち、中心のある家の設計履歴なども展示されていました。机の上にはジョージ・オーウェルの『1984年』が置かれていました。1984年は阿部さんがアルテックを設立された年なので、何か特別な感情も含まれていたのかもしれません。
中心のある家もYouTubeで阿部さんご自身が案内されている動画を見ることができます。
津田沼の家は売主さんのライフスタイルの変化で売りに出すことになりましたが、売主さんが愛着を持って丁寧に暮らしてきた住宅で、デザインはほぼオリジナルのまま、建物としても良い状態を保っています。ご購入をご検討の方は是非お問い合わせください。
名作住宅は市場に出ることも少ないのでこの機会をお見逃しなく!